コーレス骨折の治療中に気をつけること

変形治癒とは整復が不十分な時や整復後の固定が不十分で骨折部が再転位してしまった場合、変形したままで骨折部分が癒合してしまうことです。

変形治癒では、手首を返す動作(回内・回外)で、特に手のひらを上に向ける回外の動作が制限されます。

回外の動作ができないと大変不便です。まず、食事で箸でつまんだ物を口の中に入れれない。それから、物を頂戴する時に手のひらを上にしますよね。これができないので、物をもらえない。お先にどうぞって、勧めれれない、などなど。


また手首の屈伸する角度も制限されてしまいます。高齢者で尺骨脱臼を伴うケースでは、同じ様な後遺症を残すことが多くなります。


拘縮は関節が固まった状態で骨折時の腫れが顕著で長期にわたることが多くみられます。糖尿病、膠原病などの疾患を有している場合は、腫れの引きも遅く拘縮が発生しやすい傾向があります。特に糖尿病などを患っている場合はかなりの確率で発生します。

骨折の当初より強い腫れが続くような場合は、固定している期間中でも指先を軽く握り開きするなどの配慮も必要となります。

また、骨折を生じた側の肩関節や肘関節も拘縮を併発することがあります。
骨折と関係のない関節は極力動かして拘縮を予防しましょう。
骨折と関係の無い関節や筋肉は、できるだけ動かしましょう。


長母指伸筋腱は、手の親指を伸展(伸ばす)ときに作用する腱で、ギプス固定除去した後のリハビリ中に、この長母指伸筋腱が断裂することがあります。長母指伸筋腱断裂は、更年期以降の女性や老人でみられ、また仮骨(折れた骨を一時的に仮修復する軟骨組織)が過剰に形成された場合などでも起こりやすくなります。

長母指伸筋腱の断裂を生じると、母指が伸展できなくなり、母指の付け根からだらっと力なくまがった状態となります。

固定除去時の状態で手関節周囲の筋や腱が極端に痩せていたり骨折部分の変形や膨隆が大きい場合は、母指の運動を伴うリハビリをしばらく控えた方が良いでしょう。

握力を回復させたり拘縮の改善を目的とするリハビリをする場合、母指以外の他の四指による運動から始めて、母指の周囲筋腱の状態が回復してある程度良好な状態を確認してから、必要があれば母指の慎重な運動をしましょう。

コーレス骨折で注意することでした。

オススメ参考書は手の関節の動き・運動の理解です。



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